住宅づくりのコンセプト:施主としてのちょっと変わった4つの事例

家づくりのコンセプト

施工業者さんのなかには、住宅づくりの我が社のコンセプトを掲げているところも多いです。あなたも見たことがあるでしょう。では、施主としてのあなたの住宅づくりのコンセプトはなんですか。

わたしもこうしていくつかの記事を書いて、自分たちのことを振り返って、住宅づくりを進めるなかで、基本的な考え方にこんなのがあったのだなぁと、改めて気がついたことがあります。

ここではわたしが、施主としてずっと頭にあったことを、事例として書きたいと思います。事例にはなりますが、きっとあなたの住宅づくりを助けるものになると思います。

1 住宅づくりのコンセプト:家族みんなでいっしょに

わたしは、(あたりまえのことですが)家族みんなでいっしょに住宅づくりをしていこうというのが大きなコンセプトでした。

とはいっても、小学校、高学年の子どもたちに、どんな部屋にしたいとは聞いたことがなかったので、メインは夫婦でいっしょにやっていこうということです。

住宅づくりは、とても大きなイベントで、人生で一番の買い物ともいえます。こうした普段とは違う目標やプレッシャーのなかで、大きなストレスを味わい、夫婦でいえば、互いの違った面を知り、それが大きな溝や傷になって残ることもあるようです。

それなのでというわけではありませんでしたが、2人でいっしょに家づくりをしていきたいというのが、いま思えば大きなコンセプトになっていました。

もちろん、椅子の本を読んだり、雑誌の中の写真をたくさん見たりといったことをわたしがして、それを全部共有するところまではしませんでした。一方、妻は今あるものをどう収納していくのかを、寸法まで細かく調べて、考えていきましたが、細かくはわたしにはわかりませんでした。

ですので、ゆるやかに、キッチンや収納は妻、バルコニーや机・椅子などはわたしと分担していることも多かったです。でも、(これはあたりまえでしょうが)施工業者の人との話し合いは2人そろってしていましたし、週末のショールームめぐりは、毎回(毎週のように)、家族4人ででかけていました。

妻はわたしにまかせてくれた部分がとても多かったように思います。それを、その時から感じていただけに、なおさら、「いっしょに」ということを大切にしなければと思ったのです。

それは、ある意味では、「こだわり」にこだわりすぎないで、譲り合ってということにも繋がっていたように思いますし、それは大切なことだったと感じています。

家族が気持ちよく暮らすために家を建てるのですものね。その気持ちを忘れないようにしましょう。

2 これまでの習慣のなかで考えインパクト(見栄)を追わない

これまでの習慣のなかで考え、インパクト(見栄)を追わないというのは、あくまで一つのわたしたちの事例です。

今の生活をガラッと変えたい、今まで思い描いていた家を思いっきりつくる、という選択ももちろんあると思います。

  • アールデコ調の西洋風の建物にしたい
  • 古材を使ったアンティーク感ある洋風にしたい
  • 自分の部屋はアバンギャルドに

など、それぞれすばらしいコンセプトだと思います。

わたしたちも、特に夫婦として、ベッドにしてみようかと考えたこともありましたが、もう40年以上も、畳に布団という生活をしてきたので、きっとベッドにしても違和感を感じるだけだろうと思い、畳に布団のスタイルを続けることにしました。(それにこたつ生活!)

もっとも、子どもたちは、新築時点では布団生活でしたが、大学のアパート生活ではベッドを選択しているので、人それぞれです。

家づくりを通して知り合った人が何人かいます。完成してお話を聞いたことにこんなことがありました。

  • システム・キッチンの扉に赤系の強い色を使ったのだけど、リビングからその色が目にきつくて失敗だった。
  • 来客に、玄関に入って正面に、すばらしい眺望を見せようと階段とピクチャーウィンドウにしたが、その結果、間取りでダイニング・キッチンが狭くなってしまって失敗だった。

こういったお話を聞いたとき、やはり来客のことを考えることより、普段の暮らしを考えることが大切だと改めて思いました。

もし、これまでと違った生活をしたい、ガラッとインテリアを変更したいという人は、もし今の生活のなかでそれを試すことができたら、ちょっとしてみるといいと思います。

「思い通りの家はつくれたけどちょっとやり過ぎた」なんてことを避けることができるでしょう。

3 特に変わっている事例?1平方メートルの赤と1平方センチメートルの赤は違う色

「1平方メートルの赤と1平方センチメートルの赤は違う色」というのは、わたしの記憶ではミロの言葉だったと思います。この言葉も住宅づくりのなかでのコンセプトでした。

家づくりでは、外観の壁の色、室内の床、壁やクロス、キッチンの扉など、大きな面積の色や質感を決めることがあります。そのときに思っていたのがこの言葉でした。

施工業者さんのほうで提示してくれるサンプルの感じと、大きな面積となって表れるときのその感じとは、きっと大きな違いがあると、思うことにしていたのです。

よく、木の壁で話題になるのは、「ログハウスのように、壁を木材で覆ってしまうと、思っていたより、圧迫感が大きくなるので、気をつけたほうがいい」というようなことがあります。やっぱり広さのもつ要素は大きいと思います。

広さが大きいのは、天井と床材もそうです。

わたしたちは、床材に木材のサクラを選びました。あまり実際の部屋に使われている大きさの実物を見ることもできませんでしたし、色合いは、納品されてくるものによって、ばらつきがあるということでしたが、結果的には薄めの色で好みにあっていました。

天井の材料は、クロスか、木材かも最後まで決めきれず、施工業者さんのアドバイスで、杉板ということになりました。これも今、満足しています。

このあたりのことは、住宅展示場や住宅ができたときに見せてもらえるオープンハウスなどにできるだけいくことで、実際の広さから受ける印象を確かめられるので、是非、機会を逃さず行ってみるのがいいでしょう。

4 徳を使って家が建つ!そんな覚悟もコンセプト!

「徳を使って家が建つ」というのは親戚から聞いた言葉です。

それこそ、ご先祖様や家族・親戚、施工業者さん、そしてお金でお世話になる人、さまざまの人の働きがあって家は建つのだし、そのことを感謝して建てないといけない、という戒めでもあったのだと感じました。

また、特に新しい土地に家を建てるとなると、その街の住人になるわけですし、隣や近所の人との付き合いも生まれてきます。そういうことへの覚悟ももちなさいというアドバイスにも思えました。

これまでの自分がしてきたものが表れるのだし、これからもその家という場所から、また新しい自分が表れていくというイメージです。

これが、実際に、家づくりの間取りに影響したことはなかったかもしれませんが、土地の境界の処理や外観などは、どこかにこの言葉があって判断があったように思います。何より、おつきあいする人を大切にする気持ちはさまざまに波及したのではないでしょうか。

また、それは「注文住宅であっても、すべて自分で意のままにコントロールできる」というわけではないということの認識を持つということでもあります。

完全に思い通りにならないこともありながら、助けてもらい、時が流れ、事が決まっていく、それが自分としての徳や分(ぶ)の結果でもあるのだと納得する感じです。

こうした想いも、家づくりには大切だと、いまでも思っています。

まとめ

この記事では、住宅づくりのコンセプトとしてわたしの事例を書きました。

  1. 住宅づくりは、家族みんなでしていくもの
  2. 今している生活を見つめていくことからこれからの生活を考え、それを家づくりに入れていく
  3. 住宅づくりの過程で示される素材や色は、サンプルと広い面積で使われたときとは違った感じになることを想定する(住宅展示場やオープンハウスに行って実際に見る)
  4. 「徳を使って家が建つ」、家をつくるプロセスこそが、自分を試される(自分が表現でき活かされる)ときだと覚悟する

最後の「覚悟」だなんて、ちょっと大げさであるかもしれません。

でも、あなたの心によって、家が建ち、あなたの気持ちに包まれて、家族が響き合うのです。あなたも、このような施主としてのコンセプトも考えて、家族が過ごすすばらしい家を実現していきましょう。

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