住宅づくりで、室内の家具(テーブル、椅子など)を決めていく段階がくると思います。この段階にきて、しっくりした家具が見つからなかったり、これと思えた家具で決めたけれど、今ひとつ部屋のなかで圧迫感があるという経験を待つ人も多いようです。
そうならないように、住宅づくりのかなり早い段階から、メインとなる家具を考え、それに合うような室内づくりをしてみたらいかがでしょうか。
ここでご紹介するのは、高さに注目して検討を重ねていくことです。
間取りばかり見ていては気が付かない大切なポイントを押さえることで、ぐっと過ごしやすい室内になると思います。
Contents
1 新築住宅の室内の家具:テーブルの高さにこだわる
住宅づくりのなかで、家具選びというのは、少し後のほうになることが多いと思います。
でも私は、少し早くからの検討をおすすめします。
その理由は次のとおりです。
- リビングに隣接する和室を段差をつけることがあるが、その高さはとても重要
- テーブルの高さに合わせて、その周辺の棚や収納があると、使いやすく美しい
- 室内でどんな過ごし方をするのかを、構造に活かすことができる
わたしは、ずっと前から、オフィスや室内のテーブルや椅子の高さが、高いように感じていました。
机やテーブルの高さは、多くが70cm前後、椅子の座面の高さは40cm前後。ほとんどそれ以外の寸法は見つからない感じです。
この寸法は、ソファーを置かないでフロアに座る生活をしていくだろうと思っていたわたしにはどうしても高すぎる高さでした。(わたしは身長が168cmです。きっと、その感覚は175cmの人とは違いますよね。)
1-1 どんな生活をするのか思い描く
ここで大きなポイントがあります。
リビングや室内で、そんな高さを主体に生活していくか、つまり
- フロアや畳に腰をつけて座ることが多いのか
- それともほとんど床には腰をつけないで、椅子かソファーに座ることで生活するのか
という点です。
これはまた別の記事でも触れますが、設計段階で大きな分岐点になることだと思います。
わたしは、ソファーなどを置くと、狭いスペースに家具が林立する感じで好きではなかったので、それまでの経験で馴染んでいたフロアや畳に腰をおろして生活するスタイルを選択しました。
それでも、リビング・ダイニングのテーブルと椅子は配置することにしたのです。
1-2 目の高さと家具の高さ
そこで、フロアに腰をつけて座ったときの目の高さを考えると、70cmの高さのテーブルというのは、そそり立つとまではいかなくてもやはり圧迫感があるように感じます。
あなたが、フロアに腰をおろして生活するスタイルになりそうでしたら、ぜひ、70cmの高さのテーブルの近くで腰をおろしてみてください。そしてその感覚を大切にしてください。
実は、この座ったときの目の高さというのは、家づくりの計画をする中のいろいろな箇所で気にしたことです。
わたしたちの家は、リビングの外にベランダがあり、手すりがついていて、その向こうに海の水平線が見えます。
それで、わたしは、フロアに腰をおろしたり、椅子にすわったりしたときに、その手すりがちょうど水平線の高さにきてしまったらいやだなぁと思って、そうならないように注意して設計してもらいました。
この目の高さを考えて室内、室外を見渡す想定をしてみるというのは、おすすめのポイントです。
それで、なんとかテーブルの高さを60cm前半にして、テーブルはオーダーしようと決めました。さらに何センチの高さにするか。それには椅子の高さを決める必要があると思いました。
2 新築住宅の室内の家具:椅子の高さ
椅子の本もたくさん読んだりしましたが、やっぱりなんといっても、身体感覚が大切です。座ったときにしっくりとするか、作業しやすいか、腰への負担はどんなか、自分の身体で感じ取るのです。
そのころは巻き尺を持ち歩いていたので、いろいろな椅子の高さと自分の座ったときの感覚を調べました。
職場で使っている座面の高さ、新幹線の座面の高さ、レストランの椅子、公園や駅のベンチ、美術館にある椅子、高さだけでなく座面の形状や傾きもいろいろでした。
こうした経験で、世界的に有名な椅子のことも初めて知ることもでき、こだわって家づくりをすることの喜びを感じられた場面でもありました。
結果として決めたのは、座面の高さ34cmの椅子にしようということでした。
理由は次のようなものです。
- 低めに座ることでの目線の低さの(感覚的な)安定感
- 足の裏が床にぴたりとつく安心感
- テーブルを低くしたいという思いとのバランスがいい
といったことを感じたからでした。
実はピタリとしたリビング・ダイニング用の椅子が、そのときには見つかりませんでした。もし、最後の最後まで見つからなければ、これもオーダー品にしてしまおうとまで覚悟して、座面の高さ34cmの椅子にしようとだけ決めたのです。
そしてその高さから推し量って、テーブルの高さを62cmとすることにしたのです。
3 室内の高さのこだわり:和室の高さ・棚の高さ・階段の高さ
こうして、新築住宅のリビング・ダイニングのテーブルと椅子の高さが決まりました。
我が家では、リビングにつながる部屋として和室を考えていて、そこに段差をつける予定でいました。
それなので、椅子の座面の高さが決まったことで、その和室のリビングのフロアとの段差も34cmにすることにしました。
こうすると、リビングの椅子に座るのと、和室にリビングに足をおろして座るのと同じ高さになるので、とてもよく馴染むのです。
「リビングにそのままつながる和室に段差をつける」という設計は、よくみることがあります、わたしが出会った例では、やはりその段差は40cmというのが多かったです。40cmという段差はかなり高低差があって、年配になると一気に上り下りできなくなる高低差です。34cmだと、まだそれが緩和されて、いい具合です。
さらに、階段の一段の高さも17cmとしました。学校の階段の高さがこのくらいだということですが、これも低めで、上り下りしやすいです。お気づきかもしれませんが、この2段分が34cmになります。
フロアと上りの階段がつながっているのですが、フロアから続く階段の2段めに座ると、これまた、椅子とも、和室とも高さが揃い、目の高さも揃います。実際に、わたしも含めた家族が、たまにそこに座ってテレビを見ることすらあります。
また、テーブルは、棚にくっつける形で設置する予定でした。そこで、テーブルの64cmの高さと同じ高さの棚の部分を作りました。
ピッタリとテーブルの高さと棚の高さが揃っているので、ものもそのまま棚に置けて、テーブルも大きく感じますし、スッキリと美しい感じがします。
このことも、家具から決めてしまって、それを設計に活かすことが室内がよりよく整ってできたよいポイントだったと思います。
まとめ
この記事では、住宅づくりの室内の家具などの高さにこだわったお話をしました。
- 家具選びと室内の設計と連動して考えるといい
- フロアや畳に腰を下ろすのかそうでないのか決めていく
- 目の高さを意識したり、座ったときの感覚を大切にする
- テーブル、椅子の座面、和室、階段、棚などの高さを連動させ総合的に決める
座るのは椅子主体かフロアに座るかと生活スタイルを決めてから行う室内づくりは、高さにこだわってみることで、圧迫感の少ないしっくりくるあなたの部屋につながります。
そうそう、オーダーも覚悟していた座面の高さ34cmの椅子は偶然見つかりました。
思い定めると、向こうからやってくるのかも!
あなたも楽しく、室内づくりをしていきましょう。